北京アートのメッカ・「798」

「798」はありきたりの数字ではないが、1つの符号であるのは確かだ。北京ではこの数字、芸術やパイオニア、また個性の主張や別種の風格への追求を意味する。緊張感のない雰囲気に自由奔放な姿勢、どこかパリ・セーヌ川の左岸のようだ。

北京の東北部に位置する朝陽区大山子。ここにあるのが、「798アートエリア」だ。もともとは国営798工場など電子関連企業が集まる工業地区だった。今に残る鉄筋コンクリートの建築物。60年代に旧ソ連の支援を受け、重点工業プロジェクトの一環として中国企業が設計・建設したもの。新中国の工業化の歴史を垣間見ることができる。都市経済が発展し、産業構造が変化するにつれ、工業地区の使命は徐々に薄れて完全に姿を消していく。多くの工場が廃屋となった跡に、アーティストなどが工房を設けるようになったのは、02年以降のことだ。使われなくなった工場を利用して画廊やアートセンター、デザインオフィス、モダンショップ、レストランやバーなどが次々とオープン。工場跡はわずか2年足らずで国内最大、国際的影響力を最も備えたアートエリアに変貌した。

 

「798」は、歴史・芸術的な要素が融合して新たな空間に新たな生活スタイルが形成された場所、そんな印象を与える。芸術あり、仕事あり、生活もありと、現代の青年アーティストが理想を実現できる精神的な拠りどころとなるエリアと言えるだろう。

 

<メモ> ☆「798」芸術区は北京市朝陽区大山子、酒仙橋路4号にある。 ☆自動車なら首都空港高速道路や京順(北京ー順義)道路の大山子出口で下り、右に行けば酒仙橋路に出る。路線バスは401、420,405、909、955、991、988で下車 ☆月曜日は一部の画廊が休館。

 

「チャイナネット」2008年11月21日