江蘇料理

 

一 料理形成の系譜

江蘇の東は海に面し、西は沼沢に恵まれ、南は太湖に接し、長江が中部を貫流し、運河が縦横に走り、蜘蛛の巣のように河流が分岐し、湿地が数珠のように連なっている。さらに、寒暖のバランスもよく、土壌も肥沃なので、古来から“魚米の故郷”と称されている。一年中水産、肉類、野菜類が豊富で、この豊かな物産が江蘇料理の形成に好条件を提供した。江蘇料理は主に、淮揚、金陵、蘇錫、徐海の四地方料理によって構成され、その影響は長江中流、下流の広範な地域に及んでいる。

淮揚料理は揚州、両淮(淮安、淮陰)を中心に、大運河沿いを幹線として南は鎮江、北は洪沢湖周辺まで、東は下流の沿海にまで及んでいる。この一帯は水郷地帯であり、河川湖沼の周辺の物産は豊かで、その料理は淡白さに特徴があり、独特の旨み、南北各々の特徴がよく語られる。特に揚州の包丁さばきは名高く、全国一とされており、両淮の精緻な魚料理は多彩で種類が多く、中でも鎮江三魚(酢あんかけ魚、刀鲸、蛔鱼)は全国にその名が轟いている。

金陵料理は京蘇料理とも称され、南京を中心にした地方料理である。南京料理は各地の有名料理の長所を集めて需要に応じており、“松鼠(リス)色”、“卵シューマイ”、“美人肝(臓)”、“鳳尾(エツ)蝦”の四大料理及び“塩水アヒル”、“アヒル肝臓のアンカケ”、“アヒル血の腸詰め”等を代表とする。

蘇錫料理は蘇州料理、無錫料理を代表とする。伝統的な味は、口に入れた時に甘味を感じさせて後味を塩味でしめ、濃厚な油味と醤油の赤色を特徴としている。近代になって淡白な味へと発展し、濃淡のバランスが取れた味になっている。“松鼠(リス)鯨魚(クジラ)”、“碧螺蝦(エビ)”、“鶏茸タマゴ”、“常熟(地名)叫化(蒸焼き)鶏”などの料理が人々によく知られている。

徐海風味は徐州、連雲港一帯の料理を代表とし、新鮮な素材の塩味を主とした味付けで、塩味、甘味、酸味、辛味、苦味の五味を兼ね備え、素朴で実質的な料理の風格を有する。

 

二、江蘇料理の特徴

材料の選択は海鮮を中心とし、包丁裁きは精細で、火加減を重視し細火、燻し、蒸らし、遠火などに優れ、淡白新鮮な旨み素材本来の味を求め、塩味と甘味が程よく調和している。優雅な格調を有し、盛り付けの形と美味しさを併せ持ち、身離れよく仕上がっていても形は崩れず、柔らかく滑らかにその素材本来の味が味わえる。

江蘇料理で代表的なのは“軟(柔らか)兜(包む)長魚”、“槍虎尾”、“水晶(透明な)看蹄(ひづめ)”、“魚頭(カブト)の柔か煮アンカケ”、“コノシロの蒸し物”、“野鴨(カモ)菜飯”、“銀芽(モヤシ)鶏細切り”、“千切り鶏肉スープ”、“蟹肉団子柔か煮”、“双皮刀魚(タチウオ)”などがあげられる。

 

「チャイナネット」2008年11月25日